佐々木 未穂ブログ
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人の言うことを聞いてはいけないと言った父~2~
父のように生き、父のように死のうと思っている私ですが、その父はどんなふうに生きているのかっていうのが、今日のお話。
父の実家はお寺ですが、京都大学を主席で出た後、そのまま大学に残って哲学を勉強していました。
未熟児で生まれて、小さい頃は体が弱かったらしいです。
父は俳人でもあるんですが、子供の頃からすごく繊細で、感受性が強くて、庭に咲いている牡丹の花を見て、なんて美しいんだろうって思っているような子だったそうです。
今でも書斎ににクチナシだの、椿だのいつも花を飾っています。
高校生のときに肋膜っていう病気になって、岡山に1年間養生しに行きました。
要するに死にかけたわけですね。その時にある僧侶と出会って、16のときに初めて俳句の手ほどきを受けました。でもその僧侶が死んでしまって、そのことが死ぬほどショックで、人は死んだらどこに行ってしまうんだろうってすっと探求をしていたのです。
頭が良かったので、京都大学に入ってそのまま残るように教授に言われて、哲学の勉強をしていました。
哲学なんて勉強しても、当時、就職なんてないんです。それでも好きな哲学を勉強していました。
京都の大学院にいるときに母と結婚し、京都の下宿で暮らしながら私が生まれ、ものすごい貧乏で食べていけなかったそうです。でもね、穴の開いた靴下を履いていても、どんどん本を買ってきちゃうんです。
「だってお金がないんだから、しょうがないでしょ」って言ってたそうです。
お金がないならないでないままでいるのも、男子の本懐なのよと母が言っていました。
父のことが好きだったんでしょうね。父はとても女性にモテる男だったので、母はしょっちゅう
嫉妬して父を責めていました。私はその度に「こんなじいさんに嫉妬していったいどうするんだろう?」ってあきれていました。
京都大学を出た人は「何とか商事」とか「なんとか証券」とか、いっぱいお給料もらえるところに行くんですが、父は相変わらず一番食べていけない哲学を勉強していました。
そのうち食べていけなくなったから、実家に子供を連れて帰って来て、お寺でなんとか食べていってたらしいです。弟が生まれても、まだ職がないから、母は高校の非常勤講師かなんかのアルバイトして、子供たちを食べさせていました。
そんなある日、父も大阪外国語大学の非常勤講師の仕事が決まってね、母もみんな嬉しくて、給料日に父は朝早くから学校に行って並んでたそうです。お給料は給料袋に入れられて現金で渡されたころです。
そうしたら、「先生、給料の配布は午後からですよ」って笑われたって言うの(笑)
それからもずっとずっと父はお金がなくたってしょうがないって、自由にやってました。
ところが自由に好きなことだけやっていた父だからこそ、次第に突き抜けていったんですね。数年後には大阪大学の教授になりました。
父は俳句を何十年も続けていて、「毎日芸術賞」や「詩歌文学館賞」を頂き、数年前「蛇笏賞」という有名な賞をもらったんです。「毎日芸術賞」では村上龍さんや加山雄三さんと一緒に表彰されて、その後はずっと毎日新聞の俳句の選者になりました。哲学の本も何冊も出しました。有名な哲学者と一緒に、共著するようになり、お寺もずっとやっていたから、いろんなところから呼ばれて講演するようになり、海外にまで呼ばれていくようになりました。俳句と哲学と宗教のことが三位一体となってその道のプロになり、講演料が何十万って入ってくるようになりました。もう87ですよ、死ぬ間際になって金余り減少になったのです。
この前「お父さん、お金いっぱいあるもんね」って言ったら、「そうや、お金余ってるからなぁ」って困った顔して言ってました。私がそこから学んだのは、人間って、好きなことを我慢しないで追及していると成功するんだって言うことです。哲学と、仏教と、俳句ですよ。どれをとっても食べて行けそうにないんだけど、父は今、お金が余ってるわけですから。すごいなって思いますね。そして相変わらずお金に執着もなく穴の空いた靴下をはいているのです。
父の弟たちもみんな頭が良くて、みんな京大や東大を出て、野村證券とか、関西電力とか三菱電気なんかに勤めましたが、あまり出世したとはいえませんでした。
なんでかって言うと、うちはみんな「学者」ってあだ名が付くくらい、学者家系なんです。
商社マンの学者とか、学者の証券マンとか、成功できるわけないですよね。
みんな芸術家だったから、たぶん自分の好きなことではなかったかもしれません。
やっぱり人間って好きなことやらなきゃダメなんだなって思いました。私が好きなことしかしないのはここが原点です。お金に魂を売り渡さず、何にも支配されず、子供がいてもひょうひょうと好きなことだけをし、自分の心の声だけを聴いて、真理だけを追及していたあの父の姿だなって思いますね。
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